学生でも障害年金の支給を受けられますか?
1 学生であるか否かは直接関係がありません
障害年金は、年金制度に加入している人が、重い障害を負った際に支給されるものです。
そのため、年金制度に加入している場合であれば、会社勤めの方だけでなく、学生の方でも、専業主婦の方でも、自営業者の方でも、職に就いていない方でも、社会的な立場に関係なく、障害年金を受け取ることができる可能性があります。
2 厚生年金制度の障害年金が請求できる場合
どの年金制度の障害年金が利用できるかは、初診日を基準に決められます。
したがって、初診日の段階で厚生年金制度の適用がある事業所に勤務していれば、厚生年金制度の障害年金を請求できる可能性があります。
もっとも、学生生活を送りながら、厚生年金制度の適用がある事業所に勤務しているという方はかなり少数だと思われますので、学生の方で、厚生年金制度の障害年金を請求するケースは稀であると考えられます。
学生でも厚生年金制度の障害年金を請求できるケースを、具体的に想定すると、例えば、平成30年頃、厚生年金制度の適用がある事業所に勤務していたところ、うつ病を発症して心療内科を受診し、平成31年ごろ退職した方がいるとします。
その方が、学び直しのために、令和2年頃、大学や専門学校に入学して学生になったものの、令和2年半ばにうつ病の症状が悪化して休学することとなり、障害年金の申請を決意したというような経緯であった場合には、学生の方でも厚生年金制度の障害年金の請求が認められる可能性があります。
3 国民年金制度の障害年金が請求できる場合
上記のように、学生の方が厚生年金制度の障害年金を請求できる場合は稀であると考えられるため、学生で障害年金を受け取ることができる状況というのは、一般的には、20歳以上になって国民年金に加入している場合で、なおかつ、大学等の教育機関に所属している学生の方が障害を負っている場合になると考えられます。
この場合、初診日が20歳前か20歳後かに注意を払う必要があります。
初診日が20歳より後である場合、障害年金を受給するには、初診日において一定期間以上の年金の未納がないことが必要です。
学生の場合、収入が少なくて年金を払えないことも少なくありませんが、学生納付の特例を利用するなどして、年金の支払義務の免除を受けておけば、年金の未納とは扱われないため、問題なく障害年金を受給することができます。
他方で、20歳前に初診日がある場合には、年金の納付要件は問われません。
ただし、20歳前傷病に基づく障害年金を請求する場合には、一定以上の収入があると障害年金が支給されないという制限がかかります。
学生であるが、アルバイトや権利収入その他でたくさんの収入を稼いでいるような場合には、障害年金が支給されない可能性もありますので、注意が必要です。
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