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亡くなった親名義の家に住んでいる場合自己破産するとどうなるか

  • 文責:弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年10月29日

1 自己破産とは?

自己破産とは、借金の返済等、債務の支払いができない場合に、財産等を売却等処分してお金に換え、それを債権者に平等に分配し、それでも支払い切れなかった分の支払義務を免除するという手続きです。

そのため、亡くなった親名義の家に住んでいる場合、それが誰の所有になるのか、破産手続きで処分される場合、どのような方法法が取られるのかが問題となります。

2 親名義の家は誰のものと判断されるのか

民法896条は、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と定めており、相続人が複数いる場合には、民法898条1項が「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」とし、同2項において、「相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。」としています。

そして、共有となった財産は、遺産分割の手続きによって分割されることになり、その効力は、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生ずる。」と民法909条が定めていますが、民法899条の2第2項において「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。」とされています。

そのため、親名義の家がある場合、当該不動産については、相続人が自分一人の場合には、相続開始の時、すなわち亡くなった時から、その所有権を承継するので、自分の物として扱われます。

また、相続人が一人の場合、その相続分は100%になり、相続分を超える部分の問題が生じないので、名義が親のままかどうかは関係ないことになります。

相続人が複数の場合には、各相続分に応じて共有していることになります。そして、相続人間で誰が相続するかが決まっている場合には、話し合いができている場合には遺産分割ができているとも考えられますが、名義の変更ができていない場合には、第三者には対抗できません。

そのため、親名義のままであれば、破産手続きにおいては、当該不動産を共有しており、相続分に応じた持ち分を有していると扱われることになります。

3 破産手続きでどのように処理されるか

破産手続きにおいて、財産は、売却等、換価処分され、債権者への配当に回されるのが原則です。

そのため、親名義であっても、他に相続人がおらず、自分の所有となる場合には、原則、売却されることになりますので、退去等することが必要になります。

相続人が複数いる場合には、共有となり、持ち分を持っているだけになります。通常は、共有持ち分を第三者が買い取ることはあまりないため、管財人は、他の相続人に購入を提案することが多いです。

4 まとめ

上記のように、親名義の不動産に住んでいる場合、他に相続人がいなければ当該不動産は売却されるのが原則になり、他に相続人がいれば、その共有持ち分が売却されるのが原則となります。

ただ、どのような対処になるかは、個別の事情によって異なります。

破産をあきらめるのではなく、まずは弁護士にご相談ください。

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