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弁護士による自己破産@大阪

Q&A

家賃を滞納していますが、自己破産の手続きをしている間に支払いをしてもいいですか?

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2023年8月9日

1 自己破産手続き中に滞納家賃を支払うことの問題

借金問題を抱えている方の中には、家賃の支払いも滞ってしまっている方もいらっしゃいます。

自己破産の手続きを進めるにあたって、滞納している家賃を支払ってしまうことには問題もあります。

問題となる理由と手続きに与える影響についてご説明していきたいと思います。

2 免責不許可事由に該当する可能性がある

自己破産手続きは、申立人側から見て、最終的に「免責許可決定」を裁判所から出してもらう手続きと言ってよいと思います。

免責許可決定というのは、借金を支払わなければならないという責任を免除します、という決定のことです。

免責不許可事由というのは、この免責許可決定を出すのが相当でないと考えられる事情として破産法が規定しているものです。

破産法252条1項3号は、免責不許可事由の一種として以下のように規定しています。

「特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。」

自己破産手続のルールの1つとして、「債権者平等の原則」というものがあり、この規定はこのルールにかかわるものの1つといえます。

家賃の滞納も債権であり、家の貸主等は平等に扱われるべき債権者の一人ということになります。

そのため、自己破産手続き中に滞納家賃を支払うというのは、このルールに反することになるわけで、特定の債権者を優遇することになる免責不許可事由に該当する可能性が出てくるわけです。

特定の債権者への支払いは、偏頗弁済等と呼ばれます。

厳密には、「当該債権者に特別の利益を与える目的」等の主観的な要件もあるため、滞納家賃の支払いが直ちに免責不許可事由としての偏頗弁済になるとは限らないということにはなります。

このあたりは個々の事情によるところですが、自己破産手続に影響を与える行為になりうるということは十分注意しておくべきであるといえます。

3 免責不許可事由に該当する場合

上記2のとおり、滞納家賃の返済は偏頗弁済に該当する可能性があります。

免責不許可事由に該当するとなると、免責許可決定が出ないことが考えられます。

ただ、免責許可事由に該当する場合にすべての事件で免責許可決定が出ていないかといえば、「裁量免責」が認められる可能性が残ります。

裁量免責は、裁判所の総合的な判断により、免責不許可事由に該当する事情はあるけれど今回も申立てに限り免責を許可します、というものです。

そのため、滞納家賃の支払いをしてしまった場合でも、免責許可決定を得られる可能性はゼロではないということになります。

とはいえ、あくまで裁判所の裁量に委ねられるものです。

裁量免責があるから滞納家賃を支払ってもよい、というわけではありません。

滞納家賃の支払いは、偏頗弁済に該当する可能性のある行為で、免責を受けられなくなる可能性のある行為であるため、自己破産をお考えの方の場合には、安易に支払うべきではない、ということになるかと思います。

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