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「任意整理」に関するお役立ち情報

おまとめローンと任意整理の違い

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年2月26日

1 任意整理やおまとめローンが利用される状況について

借金の返済が苦しくなってきた場合に、いきなり自己破産などの裁判所を利用するような債務整理の方針を選択する債務者の方は、あまり多くはいらっしゃいません。

むしろ、一般的には、借金の返済が苦しくなってきた場合には、何とかやりくりをして、借金の返済をできるだけ続けたいと思うことが多いように思います。

このような、借金の返済を断念したわけではないけれども、今までどおり借金の返済を続けることも難しいという状態になった債務者の方に向いているのが、任意整理といった裁判所を利用しない債務整理の方針です。

2 任意整理とは

任意整理とは、債権者1社1社と個別に協議をして、1か月あたりの返済額を軽減してもらう代わりに、総返済回数を増やして返済期間を長期化するといった条件を整理して、返済の継続に向けた合意を各債権者との間で結び直す債務整理の方法です。

例えば、毎月3万円の返済を30回する予定であったところを、毎月1万5000円の返済で60回の返済計画に変更してもらうというような交渉が考えられます。

3 おまとめローンとは

これに対して、おまとめローンは各債権者と交渉するのではなく、他の債権者から借り入れたお金で、その他の債権者の借金をまとめて完済してしまう方法です。

例えば、A社、B社、C社の3社から1社あたり50万円の合計150万円を借りていて、利息の支払いを含めて1社あたり毎月3万円の合計9万円の返済をしていた方がいたとします。

この場合に、新たにD社から150万円を借りてA社、B社、C社の借金を完済し、D社に対してのみ1か月あたり7万円の返済をすればよいというような状況を作るのが、おまとめローンという方法です。

4 両者の手続きの相違点

⑴ 任意整理とおまとめローンの違い

これら2つの手続きを比較すると、以下のような重要な違いがあります。

任意整理は各債権者と1社ずつ交渉をして和解をまとめる必要があり、1社でも合意に至らないと手続き全体が不奏功に終わるおそれがあります。

他方で、おまとめローンは、新たな借入れを行う債権者以外の債権者に対しては、借金を完済することになるので特段の交渉は必要ありません。

この点にだけ着目すると、おまとめローンの方が楽で良いように思われるかもしれませんが、おまとめローンには任意整理と比較して以下の弱点があります。

⑵ おまとめローンのデメリット①

まず、おまとめローンをしようと思うと、既存債権者より貸出利率が低くて、なおかつ、既存の債務を完済できるだけの高額の貸付けをしてくれる金融業者を見つけなければなりません。

経済状況が悪化して返済が苦しくなった債務者に対して、あえて低利率で高額の貸付けをしてくれる金融業者は一般的に少数派ですので、おまとめローンができるだけの貸付けをしてくれる金融業者を見つけるのがそもそも難しいという弱点があります。

⑶ おまとめローンのデメリット②

次に、おまとめローンの場合、借入れをまとめるために借入れを行った金融業者に対して利息の支払いが続くことになります。

他方で、任意整理では和解交渉の内容や債権者ごとの対応の違いはあるものの、多くの事例で、将来支払う分の利息の支払いは、債権者側が諦めてくれることが多いです。

この点で、任意整理が成功した場合に比べ、おまとめローンの方法を採用した場合の方が、支払わなければならない金額の総額は多くなってしまうおそれがあります。

⑷ おまとめローンのデメリット③

また、任意整理の場合には、信用情報機関に事故情報が登録されますので、新たにクレジットカードを作ったり新たな借入れを行ったりすることが困難となります。

他方で、おまとめローンの場合には、既存債権者の債務はしっかりと返済した扱いになるので、信用情報に傷はつきません。

これは、任意整理のデメリットのようにも思えます。

しかし、信用情報が傷つかなければ、一度借金を完済した業者の利用限度額を利用して、再度借入れをすることが可能となります。

そのため、おまとめローンの場合には、おまとめローンの借入れをした後、再度、元々借入れをしていた業者からも再度借入れをしてしまい、借金の総額がおまとめローン以前よりも増えてしまうリスクがある点にも注意が必要です。

したがって、おまとめローンは、借入れをまとめた後、元々借入れをしていた債権者からは二度とお金を借りないというほどの固い決意がないと、事態を悪化させてしまうおそれがある点に注意して利用するべきかと思います。

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