「債務整理」に関するお役立ち情報
無職で借金が返せない場合の対応方法
1 無職になり、約束どおり借金の返済ができなくなった場合の対応方法
まず典型的に考えられるのは、自己破産です。
もっとも、具体的な事情によっては、無職になって借金が返済できなくなった場合でも、自己破産以外の対応方法が可能になる場合も考えられます。
そのため、本当に自己破産以外に採れる選択肢がないのかについては、以下の二つの観点から、採用できる対応方法の選択肢を整理することが有効です。
1つ目の観点は、無職になって収入が得らえない期間がどの程度続くかということです。
2つ目の観点は、仕事による収入以外に返済原資を確保する手段があるかどうかです。
2 まず1つ目の観点
仮に無職になっても、数か月程度の空白期間で、失業前と同程度の水準の収入を得られるようになる可能性があるのであれば、一時的に借金の返済を滞納したあとで、任意整理という方法により個別に各債権者と分割払いの和解交渉を行うという選択ができます。
また、早期に再就職して安定的な収入は得られるけれども、収入の水準が下がることはやむを得ないというような場合には、任意整理ではなく、個人再生という方法も選択肢として考えられます。
個人再生では、裁判所の手続きをとおして借金を減額したうえで分割して返済していきますので、債権者が任意整理に応じてくれるほどの水準では返済を維持できないけれども、再就職自体は早期に可能だというような場合には、再就職を待って個人再生を選択するという方法もあります。
このように、仮に無職になったとしても、それだけですぐに自己破産しかないと諦める必要はありません。
まずは、どの程度の期間で再就職して収入を復活させられるかという観点から対応方法について整理すると、選択肢の幅が広がります。
ただし、無職になった原因が病気など短期間で解決することが困難な事情によるものであった場合には、再就職を前提にした債務整理の対応方法は選択困難になります。
3 2つ目の観点
仕事による収入以外に返済原資を確保する手段があるかどうかです。
例えば、仕事はなくなったけれど、病気に対する障害年金がもらえることになったであるとか、実家に戻って親族の援助が得られるようになったなどの事情があれば、仕事による収入以外の収入を利用して、任意整理や個人再生を選択できる可能性があります。
例えば、収入20万円、家賃等の生活費が15万円、借金が合計で150万円に対して毎月5万円程度の返済が必要という方がいたとします。
そして、この方が、交通事故が原因で重い後遺障害が残って働けなくなってしまい、事故の保険会社などから払われる休業補償よりも生活費が上回る状況になってしまったとします。
この場合、まさしくその瞬間だけを切りとって考えれば、返済継続は不可能ですので、自己破産以外に採りうる対応方法はなくなります。
しかし、例えばこの方が、重い後遺障害を負ったことで賃貸の一人暮らしの物件を引き払って、実家の家族と同居するなどして、家賃、水道光熱費、食費等の生活費を可能な限り節減できたとします。
そうすると、1か月15万円程度かかっていた一人暮らしの生活費が、最低限の個人的な小遣いと携帯代程度で3万円程度に減らせるかもしれません。
仮にこの状況で、事故の後遺障害について、障害年金が1か月あたり6万円程度支払われるようになれば、毎月3万円は返済にまわすことができるようになりますので、任意整理により解決できる可能性がでてきます。
このように、具体的な事実関係を一つ一つ整理して、仕事以外の収入源を考えたり、周囲のサポートなどにより生活コストを下げるなどすることで、任意整理や個人再生などの対応方法が選択できる可能性もあります。
4 別の観点
もっとも、再就職の目どもたたないし、サポートしてくれる親族もいない、障害年金その他の仕事以外の収入も得られる見込みがないという場合も少なくありません。
このように、上記の2つの観点から、自己破産以外の選択肢がないかをじっくり考えて、それでも、将来にわたって継続的に返済ができない状況が続く見通しであった場合には、自己破産以外にはとりうる選択肢がないといえます。
5 対応にお悩みの方は弁護士にご相談ください
このように、無職で返済継続が困難になった場合でも、複数の事情を組み合わせて考えることで、様々な対応方法が考えられます。
弁護士は、そういった選択肢の整理や判断をお手伝いするために仕事をしていますので、借金のことで対応に困ることがあれば、まずは弁護士までご相談ください。
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