相続登記
すぐに相続登記をしておいた方がよい理由
1 相続登記とは
相続登記は、相続を原因として、被相続人から相続人に所有権が移転することを内容とする登記を言います。
相続登記をせずにいると、以下に述べるようなデメリットがありますので、相続登記はすぐにしておいた方がよいと言えます。
2 相続人の権利が主張できなくなります
そもそも登記には、所有権をはじめとする権利関係の来歴及び現況について、正確に記載されるべきであるとされています。
にもかかわらず、相続人が被相続人から不動産を相続することになったのに、その結果を反映させないでいると、その不動産に関する相続人の権利を主張することができなくなります。
例えば、相続人がその不動産を売却したり、担保にしたりすることができなくなります。
3 時間が経過すると相続登記が困難になります
また、相続から時間が経過すると、相続人も代替わりして、相続人の相続人が増えていくことになります。
例えば、相続が発生してから何十年もたった後で、相続登記の手続をしようとしても、関係が希薄な相続人が多数になり、手続をしようにも話がまとまらないことはもちろん、そもそも、対象となる相続人を調査して見つけること自体が困難になることになりかねません。
4 取得した権利を失う可能性があります
相続人が遺産分割や遺言によって取得した不動産のうち、法定相続分を超える部分については、その旨の相続登記をしなければ第三者に対して権利を主張することができません。
例えば、相続人A、BのうちAが、遺産分割協議により単独で不動産を取得し、相続登記をする前に、相続人Bの債権者が不動産を差し押さえた場合、Aは、法定相続分を超える部分について、不動産の所有権を失うことになります。
5 相続登記の法的義務化
従来、相続登記をすることが法的には義務になっていませんでした。
しかし、相続登記をしないことによるデメリットは以前から問題になっており、その対応として、国は不動産登記法を改正しました。
それにより、令和6年4月1日以降、不動産を相続した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
このように、国は、相続登記を法的義務にし、相続登記をすぐに行うようにさせています。