相続手続きを弁護士に依頼するメリット
1 弁護士に相続手続きを依頼する3つのメリット
相続手続きを弁護士に依頼するメリットとは、どのような点にあるのでしょうか。
このような疑問について、考えられる回答は以下のとおりです。
① 相続手続きの中で損をすることが少なくなる
② 多くの時間を節約できる
③ 専門的判断を全て任せられる
このような点について以下、詳述していきたいと思います。
2 相続手続きで損をすることが少なくなる
相続の手続きの中では、色々な法的主張をすることができます。
例えば、被相続人の方が亡くなった際に、息子の1人に全財産を相続させるという遺言書を作成していた場合を想定してみましょう。
このような場合に、他の相続人の方は一切の財産をもらう事はできないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、法律の世界では最低限の相続分を定めた遺留分の規定であったり、遺言書の真偽を主張する方法であったりと、このような場合であっても相続権を主張していく方法がいくつもあります。
このように、相続手続きであきらめてしまう場面であっても、法律の力を使って、正当な請求を行っていける場面は多いのです。
したがって、弁護士に相続手続きを依頼することでこういった主張を余すことなく行える点がメリットと考えてよいでしょう。
他にも、弁護士に相談すべき場合として考えられる場面は以下のとおりです。
①遺産分割で他の相続人ともめてしまった
②遺言書がでてきたが、本当に被相続人が作成した書類なのか
③被相続人の介護を頑張ったのに何ももらえないのか
④他の相続人が勝手に預貯金を引き出していたかもしれない
⑤他の相続人は被相続人から生活費を出してもらっていたのに…
⑥預貯金・不動産の手続きってどうやればいいの?
⑦調停の申し立てが届いてしまった
⑧被相続人の負債がたくさんある
⑨不動産の妥当な価格っていくらなのだろう?
⑩相続の手続き全般が分からない
3 多くの時間を節約できる
弁護士に依頼することで、多くの時間を節約できる点にもメリットがあります。
この点、よく挙げられるメリットとしては以下のとおりです。
① 遺産分割が早く済むことが多い
② 書類収集の手間が省ける(財産調査、相続人調査)
③ 法的主張を自身で考えなくてよくなる
④ 苦手な相続人とのやり取りを全て一任できる
① 遺産分割が早く済むことが多い
弁護士は法律の専門家ですので、当事者の方々から、今回の相続に関してお話を伺った段階で、具体的に必要ないくつかの手続きと、大まかな落としどころの目安を持っています。
そのため、当事者双方が納得を得やすい具体的な対応策を提案することができます。
例えば、預貯金1000万円、不動産が2個ある相続では、弁護士は不動産の公示価格や近傍土地の相場等から、具体的な不動産の価格を算定し、預貯金と不動産の配分をアドバイスすることもできます。
その結果、裁判まで争わずとも最終的に裁判で得られる結果に近い具体的な遺産分割を早期の段階で実現できることになるのですから、コスト的にも時間的にも圧倒的なメリットといえるでしょう。
② 書類収集の手間が省ける
遺産分割を行うには、戸籍謄本や登記簿謄本等の公的書類を用意する必要があります。
特に戸籍謄本は、令和6年3月1日から直系親族の戸籍謄本を各地の公務所で取得できるようになりました(広域交付制度)が、未だ兄弟姉妹の戸籍謄本については各地の本籍地を管轄する公務所に請求する必要があったり、取得した戸籍自体も手書きで読解が困難であったりすることが多く、ご自身で収集するのは非常に困難となっています。
しかし、弁護士に委任することでこれらの書類収集を一から任せることが可能であるため、不要な時間を費やすことがなくこの点にメリットがあるといえるでしょう。
③ 法的主張を自身で考えなくてよくなる
上述のように、ご自身が相続手続きにおいて、他の相続人に対して主張したい事柄は多岐にわたります。
その主張の中で、法的にその主張が認められるのか、認められないのか等の判断を行うには、法律の専門書を読解して、ご自身で判断を行っていく必要があります。
しかし、弁護士に依頼することで、お客様のご主張されたい事柄に関する法的な調査を一任することができます。
これにより時間の節約をすることが可能です。
④ 苦手な相続人とのやり取りを全て一任できる
弁護士に依頼をした場合のメリットとして、ご自身の苦手な相続人の方と話をしなくて済むという点も挙げられます。
仮に、弁護士にご依頼いただいた場合、弁護士は相手方に対して、「受任通知」という書面を送ります。
この書面には、今回の相続に関してご依頼人から弁護士に対して依頼があったため、以降の連絡は弁護士を介して行って欲しいという内容の文言を記載します。
この通知によって、苦手な相続人とのやり取りを全て弁護士に任せることができるようになります。
4 専門的判断を全て任せられる
相続の分野では、専門的判断が求められる場面が多いです。
例えば、被相続人には負債がありそうであるが、それと引き換えにしてもメリットの多い財産があるという場合、相続人には、相続放棄か限定承認かの判断を行う必要が出てきます。
この時、弁護士であればマイナスの資産とプラスの資産を適正に調査することで、どちらの手続きによりメリットがあるかのアドバイスを行う事ができます。
したがって、このような専門的判断を一任できるところにメリットがあるといえるでしょう。