相続人同士が揉めないための遺言を作る際のポイント
1 相続人同士が遺言で揉める原因
被相続人が亡くなった後で、相続人同士が揉めないための遺言を作るには、相続人同士が遺言で揉める原因を避けることが必要になります。
相続人同士が遺言で揉める場合としては、以下のようなことが考えられます。
- ① 遺言能力が疑われる状態で作成し、遺言が無効になるおそれがある
- ② 遺言の要式を守っていないので、遺言が無効になるおそれがある
- ③ 表現がはっきりせず、どの相続人がどの遺産を相続すればよいのかが分からない
- ④ 遺言書が遺産分割協議の終わった後に発見され、しかも、遺言内容と遺産分割協議の結果が食い違う
- ⑤ 特定の相続人1人に遺産を配分しており、他の相続人が不平不満を抱く
2 相続人同士が揉めないための遺言を作る方法
以上のような相続人同士が遺言で揉める原因を避け、相続人同士が揉めないための遺言を作る方法として、以下のような方法が考えられます。
① 健康なうちに遺言を作成する
遺言能力が疑われることがない健康なうちに遺言を作成しておけば、後で遺言が無効になるおそれはありません。
もし、遺言の内容を見直したいと考えた場合、その都度作り直せば遺言の内容は更新されます。
② 遺言の要式を守る
遺言の作り方には、日付を入れる、本文を自筆するなど、法律で決められた要式がありますので、その要式を守れば遺言が無効になるおそれはありません。
不安があれば、弁護士等の専門家に相談するか、公証人に依頼して公正証書遺言を作成することも考えられます。
③ 明確な内容にする
相続財産をはっきりと特定し、どの財産をどの相続人に引き継ぐのか、二義を許さない表現で明らかにする必要があります。
相続財産の特定の仕方には財産ごとに書き方が決まっていますので、弁護士等の専門家にご相談することをおすすめします。
④ 公正証書遺言を利用する、又は自筆証書遺言を法務局に預けておく
公正証書遺言は、その原本が公証役場に保管されます。
また、自筆証書遺言であっても、手続きによって法務局に預けておくことができます。
それによって、遺言書が隠されたり破り捨てられたりする危険や、遺言書が発見されないうちに遺産分割協議が行われる危険を回避することできます。
⑤ 遺留分に配慮する
特定の相続人に遺産を配分する内容の遺言だと、遺留分権利者である他の相続人から遺留分を請求されたり、相続人同士で無用に揉めたりする危険があります。
また、他の相続人に遺産を少なく配分しない場合でも、遺言の中で、介護等に尽くしてくれたこと等、その理由を明らかにするなどして、他の相続人に配慮する姿勢を示して、その感情にも配慮する必要があると考えられます。
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