相続放棄申述書の書き方や注意点
1 相続放棄申述書とは
相続放棄申述書とは、相続人が、家庭裁判所に対して、相続放棄の意思表示をすることを記載した書面を指します。
この書面と、その他の必要書類を裁判所に提出することで、相続放棄をすることができる重要な書類になります。
かかる書面の記載内容に法律上の問題がある場合には、却下されるおそれもある書類であり、そのようになった場合には被相続人の負債を支払うリスクもあります。
そのため、不安な方は必ず弁護士に依頼をするようにしてください。
この記事では、ご自身でどうしても相続放棄をしたいという方に記載内容をご案内していきます。
参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述
2 収入印紙
相続放棄の申述には、800円の収入印紙を添付する必要があります。
そのため、申述を行う際には、収入印紙の添付を忘れずに行いましょう。
3 管轄裁判所の選択
相続放棄の管轄裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
参考リンク:裁判所の管轄検索
被相続人の最後の住所地が分からない方は、被相続人の最後の戸籍を有していた市町村役場に対して、「戸籍の附票」を請求してみましょう。
また、「戸籍の附票」が5年の保存期間を経過して廃棄されている場合には、「廃棄証明書」を取得しておきましょう。
そして、「戸籍の附票」が廃棄されている場合でも、被相続人が所有する不動産がある場合には、登記事項証明書を取得し、その登記事項証明書に記載されている住所地を、最後の住所地として特定したとして申述を行う事も可能です。
4 添付書類
戸籍謄本の通数と、被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票を添付しましょう。
上述のように、住民票の除票又は戸籍の附票が廃棄されている場合には、「廃棄証明書」を添付し、登記事項証明書を添付書類にすることも可能です。
5 申述人及び被相続人の記載
申述人と被相続人の情報を生確に記載しましょう。
基本的には、戸籍謄本と住民票の記載を参考に、一言一句正確に記載することが必要です。
電話番号については、日中連絡が取りやすい番号を記載するように心がけてください。
6 申述の理由
申述の理由を記載する際には注意が必要です。
この質問がされている趣旨は、相続放棄の「相続があったことを知った日から三カ月以内」という要件を満たしているかをチェックするためにあるからです。
そのため、虚偽の記載をすることは許されませんが、自身が確実にこの日に相続の開始を知ったと断定できる証拠に基づいて記載するのが一般的です。
当該期間が経過していた場合には、困難な申述となる危険性があり、却下された場合には負債を負わなければならなくなるため、必ず弁護士に相談するようにしてください。
7 相続放棄の理由
今回相続放棄をするに至った理由を正直に記載しましょう。
8 相続財産の概略
相続財産の概要をなるべく特定した状態で申述を行いましょう。
相続放棄後の財産に関しては、相続放棄後に、債権者等が相続財産精算人を選任し、債権の回収を図る可能性があります。
その際、申述書の記載と、現実の財産に乖離がある場合には、相続財産精算人から責任追及がなされる可能性があります。
そして、仮に故意に相続放棄後の財産を隠匿していたとなった場合には、法定単純承認事由に該当し、相続放棄の取り消しと被相続人の負債の返還を要求される場合もありますのでご注意ください。
少しでも不安がある方は、リスク回避のために弁護士に相談することをお勧めします。
9 負債
知れている負債について記載するようにしましょう。
特別受益がある場合の遺産分割 梅田で相続の相談ができる弁護士をお探しの方へ