弁護士による相続相談【弁護士法人心 大阪法律事務所】

弁護士による相続相談@大阪

遺留分の割合に関するQ&A

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年8月21日

死んだ夫の両親から遺留分の請求をされました。私は、いくら払わなければならないのでしょうか?

亡くなった旦那様のご両親に対して各12分の1、合計6分の1の遺産を渡さなければなりません。

遺留分は、遺産の総額の内の法定相続分に対して、配偶者が2分の1、直系卑属(子、孫等)が2分の1、直系尊属(親、祖父母)が2分の1(法定相続人が直系尊属のみの場合には、3分の1)の割合で有することとされています(民法1042条)。

今回の相談者様の場合について、遺産の総額が3000万円であり、その全額が相談者様に遺言で相続されたとして考えてみましょう。

まず、法定相続分は、配偶者が3分の2、親は3分の1とされており(民法900条2号)、この割合は上記の遺留分割合とは異なりますので注意が必要です。

この法定相続分の割合を遺産総額にかけると

配偶者は、3000万円×3分の2=2000万円

親は、3000万円×3分の1=1000万円

となり、親は、父母の両方が存命でありますから、

各自、1000万円÷2=500万円

がもらえる計算となります。

次に、親の遺留分の割合2分の1を500万円に乗じます。

500万円×2分の1=250万円

この計算で、相談者様は、父に250万、母に250万円を、合計500万円を遺留分として支払わなければならないことになります。

両親の遺留分割合は3分の1ではないのですか?

両親の遺留分割合だけは、場合によって変化します。

民法の規定上、「直系尊属のみが相続人である場合」、3分の1が遺留分割合になるとされています。

これは、法定相続人の中に、配偶者も子供もいないが親のみが生存しているという場合のみが該当します。

例えば、配偶者も子もいないAさん(父:B、母:C)が、Dさんの養子になっていた場合に、3000万円の遺産をDさんに渡して亡くなった事例を考えてみます。

この場合、養親Dも相続人になりますから、法定相続分は各3分の1ずつとなります(民法889条、900条4号)。

したがって、本来、BさんCさんDさんは

各自、3000万円÷3=1000万円

を取得する権利があることになります。

しかし、DさんがAさんの遺言によって3000万円全額を受け取っているので、BさんCさんは遺留分の請求をすることになります。

この時、BさんCさんの遺留分の割合は、「直系尊属のみが相続人である場合」に該当するので、各3分の1となります。

したがって、BさんCさんは

各自、1000万円×3分の1=333万3333円(端数切捨)

をDさんに対して請求することができます。

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