自筆証書遺言が無効になる場合について
1 自筆証書遺言には厳格な決まりがあります
自筆証書遺言は、気軽に作成できる反面、作成方法は厳格に法律で定められています。
もし、その決まりを守っていないと、遺言書全体が無効になることもあるため、自筆証書遺言の決まりを知っておく必要があります。
また、自筆証書遺言の決まりを守っていても、遺言書の内容が不適切である場合や、保管方法に問題がある場合は、遺言書を残した意味がなくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。
2 パソコンで作成した自筆遺言書は無効です
自筆証書遺言は、文字通り自筆での記入が必要です。
つまり、遺言者が自分の手で書く遺言書であるため、パソコンなどで作成した遺言書は、一部例外を除き効力がありません。
また、自筆でなければならないという理由から、代筆も認められていません。
3 日付の記載がない自筆証書遺言は無効です
自筆証書遺言を作成する場合、その作成日を記入する必要があります。
また、日付が記入されていても、たとえば「9月吉日」というような、具体的な日付が特定できない場合は、日付の意味をなさないため、遺言書が無効になります。
4 遺言書の存在に気づかれなかった場合
遺言書は、相続発生後に、相続人が発見して初めて意味を持ちます。
そのため、遺言書を作成したことを誰にも言わなかった場合、遺言書があるということを知られる機会が失われてしまう可能性があります。
遺言書をご自宅で保管する場合は、誰かが遺品整理の際に遺言書を見つけてくれる可能性がありますが、銀行の貸金庫に遺言書を保管する場合、貸金庫のことを誰かに伝えておかないと、遺言書を見つけることは非常に困難となります。
5 遺言書の内容が不明確な場合
遺言書には、どの財産を、誰に渡すのかを明確に記載する必要があります。
たとえば、「先祖代々受け継いできた大阪の土地は、長男に一任する」といった内容の遺言書があった場合、「先祖代々受け継いできた大阪の土地」というのが、どの土地を指しているのか不明です。
また、「一任する」という言葉は、遺産を相続させるという意味や、誰に相続させるかの選択権を与えるといった複数の意味に解釈できるため、結局何をどうすべきなのかが分かりません。
6 遺言書の作成は専門家に相談を
遺言書の作成では、些細な失敗で、全てが台無しになってしまうことがあります。
残されたご家族が困らないように、遺言書を作成する際は、一度専門家に相談することをおすすめします。