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遺言書の失敗事例

  • 文責:所長 弁護士 大澤耕平
  • 最終更新日:2024年7月4日

1 遺言書は失敗しやすい

遺言書は、相続の争いを防ぐために非常に有効な方法です。

今では、インターネットや一般の方向けの書籍で、遺言書の書き方の情報が手に入るため、ご自身で遺言書を作成する方もいらっしゃるかと思います。

しかし、相続を扱う弁護士から見ると、専門家に相談せずに作成された遺言書は、かえって紛争を大きくしてしまうことが少なくありません。

まずは、遺言書は失敗しやすいということを認識した上で、慎重に対応することが重要です。

2 遺言書の失敗例

⑴ 書いてある内容が不明確

例えば、「長男に全てを託します」といった文言が記載されている場合、遺言書の内容を特定できない可能性があります。

遺産を相続させるという意味なのか、相続の手続きを主導して欲しいという趣旨なのか、遺言書の文言からはよく分かりません。

⑵ 預貯金の金額を書いてしまう場合

例えば、「ゆうちょ銀行の貯金500万円を、長女に相続させる」という遺言書を書いた場合、微妙な問題が発生します。

なぜなら、遺言書を作成した時点で、ゆうちょ銀行に500万円あったとしても、その後貯金額が増減する可能性があるからです。

仮に、年金が振り込まれたり、他の方の相続によって遺産が振り込まれたりすることで、亡くなった時に700万円の貯金があった場合、残りの200万円についてはどうすればよいのか分からなくなります。

⑶ 万が一を想定してないケース

例えば、長男と二男に2分の1ずつ遺産を相続させるという内容の遺言書を作成したものの、先に長男が亡くなってしまった場合は、長男に対する記載内容は無効になってしまいます。

⑷ 必要なことが記載されていない

遺言書を作成する際は、日付や署名などが必要です。

こういった必要事項が1つでも欠けていると、せっかく作成した遺言書が無効になってしまう可能性があります。

3 公正証書でも安心はできない

公証役場で遺言書を作成すれば、必要なことが書かれていない等、形式面での失敗は非常に少ないといえます。

しかし、どのようなケースで、どのような遺言書を作成すべきかについては、ご家族の人数や財産状況によって変わってきます。

公証役場は、必ずしもそういった内容まで深くチェックし、アドバイスをしてくれるわけではありません。

そのため、遺言書で失敗を避けるためには、まずは弁護士に相談することが大切です。

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