保釈条件
1 保釈条件とは
刑事事件訴訟法第93条3項は「保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。」と規定しており、裁判所が保釈を許可する場合に、被告人の住居地の制限やその他保釈を許すための条件を定めることができるとしています。
もしも住居地の制限やその他定められた条件に違反した場合には、保釈が取り消され、保釈金が没収されることがあるため、注意が必要です(刑事訴訟法第96条1項5号、2項)。
2 保釈条件の具体例
⑴ 制限住居
被告人の住居地を制限することです。
「被告人は、大阪市○○番地△△に居住しなければならない。住居を変更する必要ができたときは、書面で裁判所に申し出て許可を受けなければならない」というように定められることが一般的です。
⑵ 裁判所への出頭
これは、裁判所への出頭を確保するために定められることが多い条件です。
「召喚を受けたときは、必ず定められた日時に出頭しなければならない(出頭できない正当な理由があれば、前もって、その理由を明らかにして、届け出なければならない。)。」などと規定されます。
⑶ 逃げ隠れや証拠隠滅を疑われる行為の禁止
当然のことですが、これも条件として指定されることがあります。
「逃げ隠れしたり、証拠隠滅と思われるような行為をしてはならない。」などと規定されます。
⑷ 旅行の制限
旅行に限らず、出張や帰省の場合も含まれます。
「海外旅行又は3日以上の旅行をする場合には、前もって、裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。」などと規定されます。
3 保釈条件に違反しないよう注意
保釈条件に違反してしまった場合、せっかく許可された保釈が取り消されてしまううえに、保釈金が没収されるおそれがあります。
保釈条件が附された場合には、必ず守るようにしてください。
ここでご説明した中でも、「3日以上の旅行の際には前もって裁判所に許可を受けなければならない」などの条件は、つい失念して違反してしまうこともありえる条件ですので、特に注意しておく必要があります。