後遺障害が認定されるまでの期間
1 交通事故と後遺障害
自動車事故に遭われた結果、ケガをされた方は、医療機関で治療を受けることになります。
ところが、治療を続けたとしても、事故の前の状態までは回復せず、症状が残ってしまうことがあります。
「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」という。)をもってしても,その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で,かつ,残存する症状が,自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したとき」を、症状固定といいます(昭和50年9月30日付労働省労働基準局長通達(基発第565号)より)。
症状固定の時点で残ってしまった障害を、「後遺障害」といいます。
交通事故で後遺障害が残ってしまった場合には、自賠責保険会社を通じて、損害保険料率算出機構に対して後遺障害の認定を申請します。
2 後遺障害申請の方法
後遺障害を申請する方法には、相手方保険会社に申請を委ねる事前認定と、本人または代理人弁護士が必要資料を用意したうえで申請する被害者請求の2つがあります。
事前認定では、最終的に損害賠償をする側の相手方保険会社に申請を委ねることになりますが、相手方保険会社としては、後遺障害が認定された場合、高額の賠償金を支払わなくてはならなくなるため、全力で申請手続きを行ってもらえるかは疑問視されています。
このため、被害者請求の方が、後遺障害が認定される可能性は高いといわれています。
3 被害者請求の流れ
まず、治療を受けた医療機関に後遺障害診断書の作成を依頼します。
その際、病院が保管しているレントゲンやMRI等の画像資料を取り付ける必要もあります。
後遺障害診断書の作成には、2週間から1か月ほどの時間が必要となることが多いです。
同時期に、相手方保険会社からは、事故発生から症状固定までの、原本照合印及び担当者印のある診断書及び診療報酬明細書の写しを送ってもらう必要があります。
医療機関から相手方保険会社に診断書等が送付され、治療費が支払われてからの送付になるため、治療終了から1か月ほど時間がかかることも珍しくありません。
この間に、交通事故証明書や印鑑証明書等の必要書類を用意します。
後遺障害の申請に必要な書類が揃ったら、相手方自賠責保険会社に申請書類を提出します。
最近は、審査が1か月で終わることは少なく、おおむね、2~3か月ほど時間がかかることが多いです。
また、医療照会が必要となる場合には、さらに1~2か月時間がかかることがあります。
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