むちうちにおける慰謝料の相場

むちうちにおける慰謝料とは、いわゆる傷害慰謝料を指すことが多いです。

傷害慰謝料の額の計算方法には法律の規定や一定の相場があり、それに従って慰謝料の額が決まっています。

具体的にいうと、慰謝料の額の計算方法には、①自動車賠償責任法で定められている自賠責基準、②保険会社が独自で定めている任意保険基準、③裁判基準（弁護士基準）があります。

自賠責基準での慰謝料の計算は、１日あたりの慰謝料を４３００円とし、慰謝料の対象日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内で算出されることと定められています。

ただし、自賠責基準は、治療費、休業損害、慰謝料などの賠償額（後遺障害については除きます）が自賠責保険の１２０万円の範囲内で支払われることを前提に、法律上定められている基準です。

治療費用や休業損害が多額になる場合には、自賠責保険の１２０万円の上限額を超過し、自賠責基準どおりの慰謝料が支払われるとは限らないため、注意が必要です。

任意保険基準は、任意保険会社が各社内部で定めた独自の支給基準ですので、計算方法や基準は公表されていません。

ただし、一般的には、自賠責基準より多少金額が上がる程度で、裁判基準よりは慰謝料の額は低くなると言われることが多いです。

裁判基準（弁護士基準）は、今までの裁判例の傾向を踏まえて計算される基準で、計算方法は、通称緑本と呼ばれる「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準」や通称赤本と呼ばれる「民事交通訴訟　損害賠償額算定基準」という本に掲載されています。

裁判基準は、過去の裁判例の傾向等を分析して定められた基準で、慰謝料の金額は一般的に自賠責基準や任意保険基準よりも大きくなります。

裁判基準は、怪我の具合や通院期間を踏まえて計算されていきますので、通院日数による増減はありません。

ただし、実通院日数があまりにも少ない場合には、その実通院日数を３倍修正した期間を前提にして慰謝料が計算される場合もあります。