交通事故紛争処理センターとは
1 紛争処理センターとは
交通事故紛争処理センターは、交通事故の関係者の利益の公正な保護を図るため、交通事故に関する紛争の適正な処理に資する活動を行い、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的として、当該目的を達成するために自動車事故に伴う損害賠償の紛争に関する法律相談、和解あっ旋及び審査を無料で行う公益財団法人です。
交通事故紛争処理センターは、令和5年11月時点で、全国11か所に拠点が設けています(東京の本部、高等裁判所の所在地に7カ所の支部、さいたま市、金沢市、静岡市の3カ所に相談室)。
2 紛争処理センター利用の流れ
交通事故の当事者が、紛争処理センターを利用するには、まず紛争処理センターに電話をして法律相談の予約をとる必要があります。
そして、予約した法律相談日に紛争処理センターの法律相談担当弁護士が当事者から話を聞き、和解あっ旋が必要と判断すれば、交通事故の相手方保健会社などに出席を要請し、相手方保健会社などが出席すれば和解あっ旋が進められます。
通常3回から4階の期日で担当弁護士があっ旋案を提示し、あっ旋案に当事者双方が同意するとあっ旋成立となります。
あっ旋が成立しない場合は、審査会による審査に進むことがあります。
3 紛争処理センターを利用するメリット
紛争処理センターを利用する最大のメリットは、裁判に比べ迅速に紛争を解決できる場合が多いことです。
紛争処理センターでの和解あっ旋は、人身損害の場合は、通常3回で70%以上、5回までのあっ旋で90%以上の和解が成立しており、物損の多くの場合は、2回程度の取扱いが終了しています。
4 紛争処理センターを利用が適さない場合
紛争処理センターを利用するためには、損害賠償額が算定できる状態であることが必要になります。
そのため、人身損害の場合は、治療終了後でなければ利用できず、後遺障害が残存した場合は、自賠責保険の後遺障害等級の認定結果が出た状態であることが必要となります。
また、自動車以外の事故の場合は利用できません。
また、事実認定や法的解釈について当事者間の主張に大きな差異がある場合は、相手方から和解あっ旋ではなく訴訟への移行を要請される場合があるため、主張に大きな差異がある場合は、最初から訴訟を提起した方が良い場合もあります。
また、和解あっ旋の申立てをしたとしても時効は中断されませんので時効が近い場合は、訴訟を選択する必要があります。
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