総量規制について
1 総量規制の趣旨
総量規制というのは、借入金の総量を収入との関係で一定の範囲内に限定しようという制度です。
貸金業法13条の2は過剰貸し付け等の禁止について定めており、貸金業者に対して、貸し付けの契約が、個人に対する過剰な貸し付けに当たり、顧客の返済能力を超える貸し付ける契約と認められる場合には、そのような貸し付けの契約をしてはならないと定めています。
これは、返済しきれないほど多額の借金をしてしまう債務者を保護する政策である一方で、債務者の破産によって回収できない債権を抱えてしまわないように債権者側を保護する政策でもあります。
2 過剰な貸し付けに当たるかどうかの判断方法
一部の例外を除いて、個人の返済能力は、おおむねその人の収入額に比例します。
したがって、返済能力を超える過剰な貸し付けに当たるか否かは、その債務者の年収との関係で判断することが合理的です。
貸金業法13条の2第2項では「当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に三分の一を乗じて得た額をいう。)」として、給与等の収入の三分の一を、過剰な貸し付けに当たるか否かの判断の目安としています。
3 総量規制に該当するかの調査方法について
このような、総量規制の対象になるかどうかにについては、貸金業法13条1項で、「貸金業者は、貸付の契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借り入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。」と定めており、貸金業者側に調査義務を課しています。
そのため、貸金業者から借り入れをしようと思った場合には、通常、源泉徴収票等の収入を説明する資料の提出を求められることとなります。