障害年金の納付要件
1 納付要件とは何か
障害年金は、初診日を基準として、それ以前に一定以上の期間、年金保険料の未納があった場合には受給が認められない仕組みとなっています。
これを、障害年金の納付要件といいます。
ここで注意しなければならないのは、初診日が基準になるということです。
初診日というのは、障害の原因となった傷病について初めて医師の診察や治療を受けた日のことです。
つまり、障害を負ってから、慌てて年金保険料を納めても、少なくともその障害に対する年金の支給は認められないこととなってしまいますので、注意が必要です。
2 納付要件の内容
障害年金の支給が認められなくなる一定以上の期間の基準は、以下のとおりです。
まず、初診日のある月の前々月までの公的年金の全加入期間について、3分2以上の期間について未納がない場合には、納付要件を満たしていると判断されます。
また、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がない場合も、納付要件を満たしていると判断されます。
ここで重要なことは、上記の2つの要件を両方とも満たしている必要まではなく、どちらか片方だけでも満たしていれば、納付要件をクリアできるという点です。
したがって、これまで年金保険料を納めていなかった期間が長い方や、20歳以降まったく年金保険料を納めていなかった方でも、納付要件を満たすことを、諦める必要はありません。
今から1年以上の間、年金保険料を継続して納付すれば、年金納付要件を満たすことができます。
障害の原因となる傷病はいつ発生するか分かりませんので、将来に向けた備えとして、これまで年金保険料を納めていなかった方でも、今から年金保険料を納める価値があるかと思います。
3 初診日の認定次第では結論が変わることもあり得ます
なお、障害年金の納付要件は初診日を基準に判断されますので、初診日に関する判断が異なれば、納付要件を満たすか否かの結論が変わる可能性もあります。
一見して納付要件を満たさないように思えるケースでも、中には、通院歴等を詳細に整理してみると、納付要件を満たす時期が初診日として認められる可能性が見つかるものもあります。
特に、途中で長期間に渡って症状が緩解して、ほとんど完治に等しい状況になり、5年以上の期間にわたって通院も投薬も受けずに済んでいたようなケースでは、社会的治癒が認められて、再発後の病院の初診が初診日だと認められる場合があります。
このように、初診日がいつになるかは非常に重要な要素となります。
ご自身が納付要件を満たしているか分からない方、障害年金のことでお悩みの方は、まずは、障害年金に詳しい弁護士まで一度ご相談いただければと思います。
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