障害年金
当法人の事務所
当法人では、いずれの事務所も駅の近くに設置していますので、電車やバスなどで来所いただきやすいかと思います。また、お車でお越しの方には駐車場をご案内いたします。
障害年金申請を特に急いだ方がよいケース
1 年金受給権の消滅時効について
障害年金は、障害認定日以降はいつでも請求が可能になりますので、障害認定日において障害年金の支給対象となるだけの重い障害があったのであれば、本来であれば、障害認定日から障害年金の支給を受けることができる仕組みとなっています。
なお、障害認定日は例外的な処理がされる場合を除くと、原則として、初診日の1年半後です。
そのため、本来であれば初診日から1年半経過した時点で障害年金の受給要件を満たしていた場合には、速やかに申請をすることで、年金の支給を受けることができたことになります。
そして、このような条件が満たされているなかで、すぐに年金を請求することなく、何年か経過した後に障害年金の申請をした場合には、その時点から、障害認定日に遡って、過去にもらえるはずであった障害年金をまとめて支給するよう請求することができます。
このような請求のことを障害年金の遡及請求と呼びます。
遡及請求が認められるか否かは、実際に受け取ることのできる年金の金額に大きな影響を与えるため、遡及請求を適切に行うことは非常に重要です。
しかし、年金を受給する権利は、本来行使できた時期から5年経過してしまうと、時効により消滅してしまいます。
そのため、例えば、障害認定日から5年を超えて期間が経過してから障害年金を請求した場合には、過去にもらうことの出来ははずの年金の一部は時効により消滅してもらうことができなくなってしまいます。
したがって、障害認定日から5年を超えて期間が経過している場合には、特に急いで障害年金の申請をすることが推奨されます。
2 医療機関の資料の保管期限について
また、医療機関によっては、最後の診察から5年程度経過すると、カルテ等の医療記録が廃棄されてしまうことがあります。
障害年金の申請をする場合には、初診日や障害認定日の症状など、過去の事実に関する資料の提出を求められます。
医療記録が廃棄されてしまうと、そのような資料の取得が困難となってしまいます。
そのため、初診日以降転院を繰り返して、長期間通院をしていない病院がある場合などには、特に急いで障害年金の申請準備を進めることが推奨されます。
病名が2つある場合の障害年金の申請について
1 障害年金の申請と病名の関係について
障害年金の審査は、病名ごとに審査されるのではなく、障害の内容ごとに審査されます。
例えば、精神的な症状で日常生活に支障をきたしている場合には、医師の診断した病名が、うつ病と診断していたとしても、双極性障害と診断しいたとしても、同じ精神的な障害ですので、精神的な症状によって日常生活や仕事にどの程度の障害が生じているかという観点から障害年金の審査が行われます。
2 同系統の障害に関して2つ以上の病名がある場合
精神の障害について、ADHDなどの発達障害と、うつ病などの気分障害の二つの病名が併存する形で診断されている場合でも、障害の内容としては同じ精神の障害と判断されます。
そのため、障害年金の申請は、精神の障害に関する診断書にADHDなどの発達障害と、うつ病などの気分障害の両方があることによって、どのような日常生活や仕事の障害が生じているかを記入して、申請をすることになります。
この場合には、ADHD用の診断書と、うつ病用の診断書のように、診断書を2枚用意する必要はありません。
3 系統の異なる障害が2つ以上ある場合
これに対して、例えば、交通事故にあって脊髄を損傷した結果、下肢の機能が全廃となって車いす生活となり、さらに、災害神経症を発症してその後、うつ病となって精神の障害も発症したというような場合には、病名も2つ以上あり、障害の系統も2つ以上あります。
このような場合には、精神の障害の診断書と、下肢の機能障害について肢体障害の診断書の2種類を用意して、障害年金の申請をすることとなります。
系統が異なる障害のそれぞれが障害年金の認定基準を満たすと判断された場合には、認められた障害の種類に応じて、併合処理がなされます。
例えば、1つ目の障害が3級と認定され、2つ目の障害も3級と認定され場合に、二つの障害を併合して、2級の障害と評価して障害年金の支給をするといった処理がなされます。
ただし、単純に二つ以上障害が認められれば等級が繰り上がるというわけではなく、障害の系統ごとの組み合わせによって結論が異なってきますので、詳細は、専門家に相談することをお勧めいたします。
障害年金を受給していることがほかの人に知られる可能性はあるのか
1 障害年金を受給しているか否かについて公表する制度はありません
まず、障害年金を受給しているかどうかについて、広く世間に向けて公表するような制度は存在していません。
したがって、障害年金を受給していたとしても、見ず知らずの第三者にそのことを知られるということは、考えられません。
2 家族等の身近な人との関係について
他方で、障害年金を受給している場合、年金の支給決定や支払通知書、年金の更新の際の案内の手紙など、様々な手紙がお住まいに郵送されてくることになります。
したがって、同居をしている家族や、同居をしていなくても、頻繁に自宅に出入りするような関係性の親しい、別居の家族や友人等との関係では、障害年金を受給していることを知られる可能性は十分ございます。
障害年金が認定される程度の障害を抱えている場合には、家族や友人などに障害の存在を打ち明けて様々なサポートを受けていることも少なくないと思われるため、家族等の身近な人との関係について障害年金の受給を知られることが知られることが、大きな問題とはならないことが多いですが、どうしても家族等の身近な人との関係で、障害年金の受給を秘密にしておきたいという要望がある場合には、注意が必要です。
3 勤務先との関係
勤務先との関係でも、障害年金を受給していることを原則として伝える必要はありません。
また、年金事務所から勤務先に個別に通知をすることも通常はありません。
そのため、原則として勤務先には障害年金を受給していることを知られません。
ただし、健康保険制度から傷病手当金を受給している場合には、障害年金と傷病手当金の受給について調整が必要となるため、勤務先に障害年金を受給していることを知らせざるを得なくなる可能性がございます。
4 病院関係者との関係
病院の先生との関係でも、障害年金を受給していることを必ず伝えないといけないわけではありません。
ただし、障害年金には更新の制度もございますので、病院の先生には、障害年金を受給していることを伝えて、障害年金の更新の際に、スムーズに診断書作成等で協力してもらえる関係を構築しておくことが推奨されます。
障害年金を受給できる年齢について
1 国民年金の加入について
障害年金は、原則として年金制度に加入している人が障害を抱えたときに支給される年金です。
国民年金法では20歳に達した時に、国民年金の被保険者としての資格を取得すると定められています。
したがって、20歳以降の方が障害を抱えた場合、その他の支給要件をみたしていれば、障害年金を受給することができます。
2 未成年の頃から障害がある場合
では、20歳になる前から障害がある場合にはどうなるでしょうか。
このような場合でも、20歳前傷病による障害年金という枠組みが国民年金制度の中に設けられているため、20歳になった時点で、障害年金の支給を受けることができます。
20歳前傷病による障害年金を申請する場合、障害認定日は20歳になる誕生日の前日となります。
ただし、もともと障害認定日は一部の特例を除いて、原則として初診日から1年半後です。
そのため、20歳前傷病による障害年金を申請する場合でも、初診日が19歳と6カ月というような時期であった場合には、20歳になってすぐに障害年金を受給できるわけではありません。
この場合には、初診日から1年半経過するのを待って、障害年金を申請し、そこから受給をすることができるようになります。
3 その他の年金制度について
ここまででご案内したのは、国民年金法に基づく障害年金です。
ただし、未成年の頃から厚生年金の適用される事業場で就労していた場合には、国民年金には加入していないけれども、厚生年金に加入しているという場合もありえます。
このような場合、厚生年金加入後に初診日があれば、厚生年金の被保険者資格に基づき、厚生年金の障害年金を受給できる可能性があります。
4 様々な例外があるためまずは弁護士にご相談ください
このように、年金の受給は原則として20歳以降ですが、様々な例外もございます。
また、20歳前傷病による障害年金を申請する場合には、受給漏れが生じないように、20歳になった後は速やかに障害年金の申請をできるよう、20歳になる前から事前準備をしておくことをお勧めします。
障害年金の申請をご検討中の方は、弁護士法人心までご相談ください。
働きながら障害年金を受給できる場合について
1 障害年金をもらうための要件
障害年金の支給を受けるには、年金に加入していることや、初診日における年金の納付要件などの条件をみたしたうえで、さらに、障害年金の認定基準を満たす程度の重い障害があると認められることが必要です。
そして、この要件を満たす限り、仕事をしていたとしても障害年金の支給を受けることができます。
2 障害の程度の判断と働いているか同課の関係
障害年金の認定基準のなかに、就労状況等から障害の重さを判断する方法がとられている障害については、働きながら障害年金の支給を受けようとすることが難しい場合があります。
これは、問題なく働けているという事実から、障害年金の認定基準を満たすほど重い程度の障害ではないのではないかという問題が生じてしまうからです。
例えば、うつ病などの精神障害を理由に障害年金の申請をする場合、精神障害は就労状況も障害の重さをはかる尺度の一つとなりますので、一般企業でフルタイムで働いているような場合には、障害年金を受給できる可能性が少なくなります。
他方で、視力や聴力、関節の可動域といった、客観的に検査数値で障害の程度をはかる障害については、働いているか否かは、障害認定の際の判断材料となりませんので、働いていても、問題なく障害年金の支給を受けることができます。
また、精神障害のような、就労状況が障害の程度をはかる目安になっている障害でも、働いているということだけで、障害年金が否定されるかというと、そういうわけではありません。
就労の具体的状況をみて、働いているといってもA型事業所で限定的な仕事をしている場合や、一般企業で就労している場合でも、多くの仕事の支障が生じていて、勤務先の特別な配慮でかろうじて働き続けることができている場合などには、障害年金が支給される可能性もあります。
3 収入について
また、働くことで高額な収入を得ている場合に、それでも障害年金を受給できるのかと心配する方がいらっしゃいます。
この点について、障害年金には原則として年収制限などがありませんので、障害の程度などその他の要件が満たされている限り、高額所得者であっても障害年金を受給することができます(初診日が未成年のときにある20歳前傷病による障害年金の場合、例外的にし年収制限がかかりますのでご注意ください。)。
障害年金の申請を依頼する弁護士選びのポイント
1 障害年金の申請を取り扱っている専門家
障害年金の申請を代理人として取り扱っている専門家として代表的な士業は、弁護士と社会保険労務士の二つです。
ただし、弁護士も社会保険労務士も、各弁護士・社会保険労務士ごとにメインで取り扱っている業務分野が異なりますし、弁護士事務所や社会保険労務士事務所ごとの事務所の方針で、力を入れて取り組んでいる業務分野も異なります。
したがって、弁護士や社会保険労務士であれば、誰でもよいというわけではなく、障害年金の申請を依頼するのであれば、障害年金の申請に力を入れて取り組んでいる弁護士や社会保険労務士に依頼することが必要になります。
ここでは、どのようにして障害年金の申請を依頼する弁護士を選ぶのかポイントをご紹介します。
2 障害年金の申請に力を入れて取り組んでいる弁護士の見つけ方
障害年金の申請をご検討される方の場合、病院その他の医療機関や、介護施設等に通われているケースが多いと思われますので、そういった場所で、障害年金の申請をよく取り扱っている弁護士について紹介してもらったり、口コミを聞いて選んだりするなどの方法が考えられます。
また、そのような紹介や口コミが得られない場合には、インターネットなどのメディアを通して、探すという方法もあります。
弁護士事務所には、自社ホームページを作成しているところもたくさんあります。
そして、そこには、取扱分野の紹介などが書かれていますので、その記載を確認し、障害年金の申請を取り扱っている事務所に連絡をしてみることも一つの方法です。
特に、障害年金の申請に力を入れて取り組んでいる事務所であれば、障害年金に関する情報提供をホームページ上でしていることも多いので、ホームページの内容を読んで、障害年金について詳しく説明がされている事務所を選ぶとよいかと思います。
障害認定日について
1 障害の発生から障害年金受給までの流れ
障害年金は、①障害の原因となった傷病の発病、②当該傷病についての初診、③初診から一定期間の経過(障害認定日)、④診断書等の障害の程度を証明する資料の用意、⑤障害年金の申請、⑥認定、⑦支給というプロセスを経て、受け取ることができます。
このうち、特に重要になるのが③の障害認定日です。
障害認定日とは、障害の程度が障害年金の支給対象になるかどうか認定することができるようになるタイミングのことです。
したがって、どれだけ重い障害があっても、障害認定日を迎える前には、障害年金を受け取ることも、申請することもできません。
2 障害認定日の原則
障害認定日は、原則として、初診日から1年半経過した時点です。
医師のもとで、障害の原因となった傷病について1年半程度、治療や経過観察をして、障害が残ったと確認されて、初めて障害年金の申請が可能となるのが原則です。
3 障害認定日の例外
ただし、障害認定日には様々な例外があります。
例えば、未成年の間に初診日がある場合や、知的障害などのように出生日が初診日と認定されるような場合には、20歳になる誕生日の前日が障害認定日になります。
この場合、20歳になるとすぐに障害年金の申請をすることが可能となります。
また、障害認定日には様々な特例があります。
例えば、人工肛門を設置した場合にはその手術から6か月で障害認定日となります。
人工透析を受け始めた場合には、3か月で障害認定日となります。
手足などの切断があれば、切断の日から障害認定日となります。
4 当法人にご相談ください
このように、障害認定日の判断は、例外も含めると様々なバリエーションがあります。
障害認定日を適切に判断できないと、本来請求すべきタイミングを逃してしまう恐れもあります。
障害年金の申請をご検討中の方は、まずは、弁護士や社労士などにご相談ください。
当法人では、障害年金の申請について原則相談料無料で相談を受けております。
障害年金の申請をご検討中の方は、フリーダイヤルやお問合せフォームからお気軽にお問い合わせください。
相談・依頼するまでの流れ
1 相談の窓口について
障害年金の件で弁護士に相談しようと思った場合、まずは弁護士に連絡をとる必要があります。
弁護士が障害年金の相談を受け付けている方法には、いろんな種類があります。
もっとも一般的なのは、病院や美容院を予約するときと同じように、弁護士事務所の受付に電話やメール等で連絡をいれていただき、弁護士の相談の予約を取っていただく方法です。
また、弁護士事務所によっては、弁護士事務所に電話を掛けた時点で、直接弁護士が電話口で対応して、そのまま電話相談になることもありえます。
この他には、区役所等で開催されている法律相談会にアクセスしていただく方法もあります。
2 弁護士に相談する前に準備をしておくとよいこと
どのような方法で弁護士に連絡をとるにせよ、相談の際に最初に必要になるのは、相談者の状況の聴き取りです。
弁護士事務所に予約の電話を掛けた時点で受付のスタッフから簡単に聴き取りが行われることもあれば、メール予約のフォームに必要事項を書き込む場合もあります。
また、相談の最初の時間をつかって、弁護士が直接聴き取りを行う場合もあります。
どのようなパターンで聴き取りが行われるにせよ、円滑に相談者の情報の聴き取りができた方が、その後の相談の内容も円滑で精度の高いものとすることができます。
そのため、①いつごろから症状を感じるようになったのか、②いつ頃、病院にはじめてかかったのか、③その後、どのような病院で受診してきたのか、④医師からはどんな診断をうけていたのかなど、障害年金を申請する原因になった傷病の大まかな時系列を整理しておくと、良いのではないかと思います。
3 依頼について
実際に、弁護士に相談をし、弁護士からその後の対応方法や障害年金の申請に関する方針の説明を受けたら、あとは、弁護士に実際に依頼をするかどうかを決める段階に入ります。
委任契約をする際には、料金の点など疑問が残らないように、納得できるまで弁護士に質問をして疑問を解消することが重要です。
また、委任契約を結ぶには、本人確認等が必要となりますので、相談の際には、運転免許証等の身分証明書や印鑑を携帯しておくと、より円滑に手続きが進むのではないかと思います。
障害年金が不支給になってしまった場合の対応方法
1 不服申し立て手続き
障害年金が審査の結果、不支給となった場合、不服申し立ての制度が法律上用意されています。
不服申し立ては、2段階の審査体制がとられており、まず、地方厚生局に対する審査請求を行います。
審査請求は、不支給となった旨を知らされてから3か月以内に行う必要があります。
審査請求の審理は、地方厚生局の社会保険審査官によって行われます。
審査請求の結果、受給決定が出ればよいですが、審査請求が却下・棄却され、不支給の判断が覆らなかった場合には、その旨の通知をうけて2か月以内であれば、再審査請求が可能です。
再審査請求は、厚生労働省の社会保険審査会に対して行います。
2 裁判
また、①審査請求の決定から6か月以内、②再審査請求の決定から6か月以内、または、③審査請求をしてから2か月待っても結果が出ない場合には、直接裁判所に対して、訴訟を提起することも可能です。
3 不服申し立ての前に行った方がよいこと
なお、上記1,2の手続きで不服申し立てをすることにより不支給決定が覆る可能性がどの程度あるかは、不支給決定がどのような理由でなされたかによって異なります。
理由次第では、どれだけ不服申し立てをしても徒労に終わるおそれもありますので、不服申し立ての前に、不支給決定の理由について情報開示を受けておくことをおすすめします。
専門家に障害年金を依頼する場合の料金
1 着手金
弁護士や社会保険労務士等の専門家に、障害年金を依頼する場合、依頼をした時点で結果にかかわらず支払いが必要となる、着手金という種類の料金があります。
事務所によっては、着手金をとっていないところもあります。
2 報酬金
次に、年金額の何%というように、成果が出た後に、成果の程度に応じて、支払いが必要となる料金もあります。
3 手数料
また、書類の取り付けや、申請書の代筆等、純粋に手続き的な業務については、手数料として料金の支払いを求められる場合もあります。
4 その他出張費・日当
専門家が病院を訪問して医師面談を行う場合のように、出張を伴う業務を行うことがあります。
多くの事務所では、その際に、出張費や日当の名目で、別途料金が発生する料金体系になっています。
5 実費
上記1~4は、専門家に対して報酬として支払う必要のある料金ですが、その他に、実費の負担も発生します。
実費とは、例えば、弁護士・社会保険労務士をとおして診断書の作成を病院に依頼したり、診療録の取り付けを行ったりした場合に、弁護士・社会保険労務士が立て替えて支払った、診断書料金や診療録の開示手数料等です。
この他にも、コピー代や郵便代なども実費に含まれます。
障害年金の遡及請求について
1 障害年金はいつから請求できるかについて
障害年金は、怪我や病気になってからすぐに請求できるというものではありません。
障害の原因となった怪我や病気で、初めて病院にかかってから、原則として1年半経過した時点で、お医者さんに障害の状態について診断をしてもらい、その診断書を添付して障害年金の申請をするという流れが、一般的な障害年金の申請の流れです。
初めて病院にかかった日を「初診日」といい、原則1年半経過した時点のことを「障害認定日」といいます。
2 障害認定日に申請できなかった場合どうなるか
もっとも、障害認定日に障害年金を申請できないケースもあります。
そもそも、障害年金の制度について知らないということもありますし、知人などから誤った説明を受けて障害年金は申請できないと思いこんで諦めてしまったり、家族に反対されて申請できなかったりというケースもあります。
このように、様々な理由で、障害認定日に障害年金の請求ができないまま長い年月が経過してしまう方もいらっしゃいます。
もっとも、このようなことがあっても、障害年金を受けることをあきらめる必要はありません。
きちんと資料を揃えて、障害認定日に障害年金を受けることができる状況であったことを証明できれば、後から遡及して、本来過去にもらえることができたはずの障害年金を受給できる可能性があります。
これを障害年金の遡及請求といいます。
3 遡及請求の注意点
ただし、遡及請求を考える場合、以下の点に注意が必要です。
まず、障害認定日からすでに5年経過しているケースでは、5年より前の障害年金を受給する権利が、時効によって消滅してしまっているということです。
したがって、遡及請求で支給される障害年金の金額は、最大で5年分までということになります。
また、カルテの保管期間にも注意が必要です。
医師法では、医師は診療の完結から5年間はカルテを保存する義務があるとされています。
これはいいかえると、病院に通わなくなって5年経過すると、カルテを廃棄されてしまっていてもおかしくはないということです。
遡及請求が認められるには、あくまで、何年も前の障害認定日において、障害年金の要件を満たしていたということを証明する必要があるため、カルテが廃棄されてしまっていると、証明のしようがなくなってしまい、結果的に遡及請求をあきらめなければならなくなります。
4 遡及請求をお考えの方へ
このように、遡及請求は、障害認定日にすぐに障害年金の請求をできなかった方にとって、非常に便利な制度ですが、時効やカルテ保管期間の点で、障害認定日から長期間経過してしまうと、どんどん年金受給を受けるハードルが高くなっていってしまいます。
遡及請求をする場合には、できるだけ早く弁護士までご相談ください。
精神疾患と障害年金について
1 精神疾患も障害年金の支給対象となります
障害年金の支給対象となる障害は、身体的なものに限りませんので、精神疾患の方も、その症状の内容や程度によって、障害年金を受給できる可能性があります。
2 精神疾患の種類
精神疾患と一口に言っても、様々な種類があります。
障害年金の制度では、①統合失調症やうつ病などの気分障害に関するもの、②頭部外傷等の器質的要因が存在する器質性精神障害、③てんかん、④知的障害、⑤発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)に精神疾患を分類して、認定基準を整理しています。
なお、パニック障害、強迫性障害、適応障害、パーソナリティ障害などの神経症や人格障害については、上記①~⑤の分類のどこにも該当せず、原則として障害年金の対象となっていません。
ただし、障害年金は診断名だけで判断されるわけではなく、病状の実態に着目して審査がされますので、仮に神経症の病名で診断がされている場合でも、その実態が「精神病の病態を表している」と医師の診断等から判断可能な場合には、障害年金の支給が認められる可能性もあります。
3 どのような症状であれば障害年金の対象となるか
どの程度の重さの精神疾患があれば障害年金の対象となりうるかについては、精神疾患の類型ごとに詳細な基準が設けられています。
精神疾患の分類ごとに詳細な基準は異なりますが、概ね労働に制限を受けている程度で3級、日常生活や労働に著しい制限があり援助が必要な程度が2級、日常生活が困難で常時援助が必要な程度が1級というのが目安になります。
障害年金に所得制限はあるのか
1 原則として所得制限はありません
所得制限とは、例えば、年間の所得が1000万円以上の人には、年金を支給しませんというような制限のことです。
障害年金(障害基礎年金及び障害厚生年金)には、原則として、このような所得制限は設けられていません。
高年収の方でも、重い障害を負えば障害年金の支給の対象となります。
2 例外としての20歳前傷病による障害年金
もっとも、例外的に所得によって支給できる金額が制限されてしまう場合もあります。
障害基礎年金の支給について、国民年金法34条の4では、「疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において二十歳未満であつた者が、障害認定日以後に二十歳に達したときは二十歳に達した日において、障害認定日が二十歳に達した日後であるときはその障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給する。」と定めています。
この条文で重要なのは、20歳になる前に初診日(障害の原因となった病気や怪我で最初に病院に受診した日)がある場合には、20歳になった後に障害年金の対象になるような障害の状態にあることしか要件にされておらず、年金保険料を納付していなかった方でも障害年金を受給できるとされている点です。
このような、国民年金法34条の4に基づく障害年金を「20歳前障害基礎年金」と呼びます。
しかし、この20歳前障害基礎年金には所得制限が設けられています。
国民年金法36条の2では、「第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、・・・中略・・・、政令で定めるところにより、その全部又は二分の一・・・中略・・・に相当する部分の支給を停止する。」と定めており、政令で決められた金額以上の所得がある方については、年金の支給が停止されてしまう仕組みになっています。
具体的にいくら以上の所得があれば、年金のどの範囲が支給停止になるのかは、「政令で定めるところ」によるとされていますので、正確な数字は、毎回、政令を確認しなければなりません。
大まかにいうと、400万円代後半以上の高額な所得を得ている方は全額が支給停止になり、300万円代後半から400万円代前半の所得の方は半額が支給停止となり、300万円代前半以下の所得の方は支給停止されないというのが目安になります。
障害年金の種類と金額について
1 障害基礎年金と障害厚生年金について
障害年金と一口にいっても、国民年金制度に基づいて支給される障害基礎年金と、厚生年金制度に基づいて支給される障害厚生年金という2つの種類があります。
国民年金は、20歳以上の方であれば原則として誰でも加入している年金の制度ですが、厚生年金は厚生年金制度の適用のある事業所で就労している方が対象となる年金制度です。
そのため、障害厚生年金については、厚生年金に加入したことがない方は受給することができません。
2 国民年金の障害基礎年金の金額
国民年金の障害基礎年金を受給できるのは、障害年金の制度のなかで、1級又は2級の重さの障害を抱えていると認められた方です。
2級の障害基礎年金が認定された場合、老齢基礎年金の満額と同額(概ね78万円程度です)の年金を受給することができます。
1級の障害基礎年金が認定された場合には、上記金額の1.25倍が支給されます。
3 厚生年金の障害厚生年金について
厚生年金の障害厚生年金については、もらえる金額の計算は複雑になります。
基本的には、支給されていた給料額を基準に計算された標準報酬月額に、「7.125」また「5.481」といった係数を乗じ、さらに、加入月数を乗じて計算をします。
「7.125」また「5.481」のどちらの係数を乗じるかは、「平成15年3月」を画期として、それ以前の厚生年金加入期間に対する年金か、それ以降の厚生年金加入期間に対する年金かで区分けします。
また、配偶者がいる場合には、配偶者の年齢や年収によっては加給年金額と呼ばれる年金額の加算が行われることもあります。
障害年金が不支給にならないために注意すべき点
1 症状は正確に診断書に記載されていますか?
障害年金を受給するには、障害の程度が一定の基準以上に重いものであると認められる必要があります。
そして、その障害の程度を判断する上で基本となる資料が、医師の書く診断書です。
もっとも、すべての医師が、障害年金申請用の診断書を書き慣れているわけではありません。
場合によっては、必要な事項を書き漏らしたり、必要な検査を飛ばしてしまっていたりする恐れもあります。
また、問診の際に誤解が生じてしまって、実際よりも症状を軽く認識されたまま、診断書を書かれてしまう恐れもあります。
そのため、医師が書いてくれた診断書に不備や誤解がないかを、きちんとチェックした上で、申請をすることが重要です。
2 初診日の認定は、その日であっていますか?
障害に関する症状で初めて病院に診てもらった日のことを「初診日」と呼ぶのですが、この初診日がいつかによって、障害年金が受給できるかの結論が大きく変わります。
例えば、厚生年金では障害等級3級まで年金が支給されますが、国民年金だけの場合、障害等級2級以上でないと年金は支給されません。
そのため、現在、障害等級3級相当の障害を抱えている方の場合、初診日が国民年金にだけ加入していた時期だったか、厚生年金に加入していた時期だったかの判断一つで、受給が認められたり、不支給になったりと、結論が180度変わってしまいます。
しかし、初診日をいつと評価するのかは、決して簡単なことではありません。
例えば、途中で病名が変わったとしても、変わる前後の病名が一般的に原因と結果の関係になると判断される場合には、前の病名で最初に病院にかかった日付が初診日と判断されることもあります。
したがって、申請をする前に、初診日はこの日付で間違っていないかということもチェックする必要があります。
3 障害年金のご相談は弁護士へ
こういったことについて、ご自身だけで問題がないかどうかをチェックするのは、非常に大変です。
そのため、障害年金の申請にあたっては弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
当法人では、障害年金に関するご相談を承っております。
障害年金に関する不安や疑問等がありましたら、まずは一度当法人の弁護士にご相談ください。
障害年金に関する相談料は原則無料ですので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
障害年金の申請に必要な資料
1 必要な資料を大まかに分類すると
障害年金の申請に必要な資料は、大きく分けて
- ①障害の内容や経緯について説明する資料
- ②年金加入者に関する個人情報を説明する資料
- ③その他の手続き関係の資料
というように整理すると分かりやすいと思います。
2 障害の内容や経緯を説明する資料
まず、初診日を説明する資料として、受診状況等証明書が必要となります。
また、通院歴やその間の病状を説明する資料として病歴・就労状況等申立書や、医学的な見地から症状の程度を診断してもらう資料として診断書なども必要です。
3 年金加入者に関する個人情報を説明する資料
住民票や年金手帳、障害者手帳などの交付を受けている場合には、申請の際にそれらの手帳などを添付する必要があります。
4 その他の手続き関係の資料
年金請求書などの所定の請求用紙の作成が必要となります。
また、専門家に依頼した場合など、代理人をつけて請求をする際は、委任状の用意も必要となりますし、代理人の身分確認ができる資料も必要となります。
障害年金が受給できるケース
1 受給のための3要件
障害年金を受給するには、一般的に3つの要件を満たす必要があります。
⑴ 障害状態要件
第1に、障害年金の支給基準を満たす障害を抱えていることです。
障害年金は、重い障害を抱えた人の生活を支援するための制度ですから、基準を満たさない症状しかない場合には、受給が認められません。
⑵ 初診日要件
第2に、その障害に関係する症状で初めて病院にかかったとき(これを専門用語では「初診日」といいます。)に、国民年金や厚生年金などの公的な年金に加入していたことです。
どの年金に加入していたかによって、受給金額が変わってきます。
⑶ 保険料納付要件
第3に、年金保険料に一定の水準を超える未納がないことです。
年金保険料を納める義務を怠っていた場合には、年金による保護を受ける権利も失ってしまうという仕組みになっています。
2 受給要件の例外
もっとも、上で述べた要件には例外もあります。
例えば、障害の基準を今は満たしていない方であっても、そのことで受給できないことが確定するのではなく、後日、症状が重くなった場合には、事後重症請求といわれる方法を使って障害年金の受給が認められる可能性があります。
また、未成年であったために初診日に公的年金に加入していなかった場合には、年金保険料の納付をしていなかったとしても、20歳になった時点で障害年金を申請して受給できる可能性があります。
3 迷ったら悩まず専門家に相談を
このように、障害年金の仕組みには原則と例外が複雑に存在しています。
一人で悩んで「どうせ無理だろう。」とあきらめてしまうと、本来は差し伸べられたはずの救済の手が届かなくなってしまいます。
障害年金については、無料で相談できる弁護士事務所もあります。
怪我や病気による障害で悩んでいる方は、障害年金を受給できる可能性がどの程度あるのかをチェックするだけでもよいので、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
障害年金の対象となる人
1 障害の程度について
障害年金は、一定程度以上の重い障害が残った方が支給の対象となる年金です。
日本年金機構のホームページで「国民年金・厚生年金 障害認定基準」が公表されていますので、どのような症状があると障害年金の対象となるかは、こちらの基準を参照することで判断できます。
2 初診日要件と保険料納付要件
ただし、重い障害があれば誰でも障害年金の支給の対象となるわけではありません。
障害年金の支給が認められるためには、初診日に国民年金・厚生年金等の公的年金に加入しており、かつ、当該保険について一定の条件を満たす形で保険料を納付していることが必要です。
なお、例外的に、未成年の場合や過去に公的年金に加入していた60歳から65歳の方は、初診日の時点で公的年金に加入をしていなくても、障害年金の対象となるケースがあります。
3 自分が対象になるかどうか迷ったら専門家にご相談を
障害の程度が基準を満たしているのか、また、いつが「初診日」と判断されるのかは、場合によっては評価が難しい問題となります。
ご自身が、障害年金の対象となるか迷われている方は、まずは、弁護士などの専門家までご相談ください。
障害年金を専門家に依頼するメリット
1 面倒な手続きを専門家に任せられます
障害年金の申請は、自分自身で行うことも可能です。
しかし、障害年金の手続きを進めようとすると、たくさんの書類を集めたり整理したりしなければなりませんので、弁護士などの専門家に依頼して、面倒な手続きを外注することにはメリットがあります。
2 初診日などの評価によって結論が変わることもあります
また、障害年金ではいつから症状がでていたかという「初診日」という概念が非常に重要となります。
なぜなら、障害年金について国民年金と厚生年金どちらの制度が利用されるかなど、障害年金を申請した後の結論がどうなるかが、「初診日」の認定によって左右されるからです。
3 初診日の判断には解釈の幅が生まれることがあります
そして、ここでいう「初診日」とは、障害認定を求める症状について、初めて医療機関で診療を受けて、治療に関する指示を受けた日のことを言います。
例えば、事故で片腕を失ったというような場合には、初診日は明確です。
他方で、精神疾患や内臓・免疫系の疾患の場合などの場合、解釈や評価によって「初診日」がいつであるかについては、いくつかの解釈が出る可能性もあります。
その様な場合、安易に「初診日」を決めて申請した結果、本来「初診日」についてしっかり検討していれば、厚生年金が適用出来た可能性があるのに、国民年金しか適用されなくなってしまうなどの不利益を受ける恐れもあります。
4 専門家への依頼をおすすめします
このように、障害年金の手続きは、手続きにかかる負担やリスク管理を考えると、弁護士等の専門家に依頼することがおすすめです。
お身体に残った障害に見合った年金を受け取れるようにするためにも、お一人で対応するのではなく、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
障害年金の請求の流れ
1 受給要件を満たしているか
障害年金を受給するためには、初診日・保険料納付・障害状態について、それぞれ要件を満たしている必要があります。
初診日に年金に加入していたか、一定以上の保険料の滞納はないか、障害の状態が基準を満たしているか等ということを確認して、障害年金を受給する資格があるのかを判断します。
ただ、例えば初診日が二十歳になる前である等の例外的なケースもありますので、ご自身の場合は障害年金が受給できるのかどうか、一度専門家にご相談いただくことをおすすめします。
2 必要書類の用意
障害年金の申請をするにあたっては、請求書のほかに診断書や病歴・就労状況申立書等の書類が必要となります。
これらの書類に不備があったり、障害の状態がきちんと記載されていなかったりすると、適切な額の障害年金を受け取れない可能性がありますので、書類の内容をしっかり確認しておくことが重要です。
また、診断書は医師が作成しますので、実態に即した内容にしてもらえるようにご自身の状況を的確に伝えることも大切であるといえます。
3 書類提出・結果の通知
書類を揃えたら、年金事務所または市町村役場に一式を提出します。
その後年金事務所や認定医による審査が行われ、審査結果が通知されます。
審査の結果は3~4か月程度で出ることが多いですが、場合によってはそれ以上かかることもあります。
もしも、審査の結果不支給となった旨の通知が届いた場合には、不服申し立てを行うことができます。
4 障害年金についてご相談ください
障害年金の請求は、書類を用意して提出するのが主な流れですが、適切な内容の書類を揃えることや不支給となった際の対応等、ご自分だけで行うのは困難な場合もあるかと思います。
スムーズに障害年金の申請をするためにも、弁護士等の専門家にお任せいただくことをおすすめします。